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少数精鋭「安藤」「福士」「松田」 マラソン代表切符つかめるか

引用元:産経新聞

2020年東京五輪で日の丸を背負って、42・195キロを走るのははたして誰か。マラソン五輪代表を決める「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」がいよいよ15日に迫ってきた。男女とも上位2人が五輪切符を手にする一発勝負のレース。日本のマラソン界にとって、かつてない緊張感に包まれた朝になるのは間違いない。レースは男子が午前8時50分、女子が同9時10分にスタート。五輪の夢舞台を目指し、多くの選手が決意のスタートラインに立つ。

出場予定者は男子31人、女子12人。出場権獲得者の中から今秋の世界選手権(ドーハ)の代表に選ばれた男女各3人が辞退する形になり、とくに女子は少数精鋭のレースが展開されることになった。所属別ではワコールの3人が最多で、ダイハツ、天満屋、日本郵政グループが各2人。チーム内で切磋琢磨しながら、厳しい練習を積んできた。ダイハツの林清司監督が「松田瑞生と前田彩里でワンツーフィニッシュを目指したい」と話すように、2枚の切符をチームメートで独占する可能性も十分にある。

女子は関西実業団陸上競技連盟(近畿2府4県と四国4県)に所属するチームの選手が多いのも特徴だ。岡山県に拠点を置く天満屋を含め、男子に比べると、勢力図は西日本に少し傾いている。

男子は住友電工や大阪ガスなど短距離に力を入れている関西のチームは多いものの、長距離の選手層は決して厚くはない。陸上関係者の間では「男子の場合、箱根駅伝にあこがれ、有望な高校生の多くが首都圏の大学に進学する傾向が強い」と指摘する声があり、関西の実業団に選手が集まりづらい土壌がある。

一方の女子は、関西にも立命大や大阪学院大、京都産業大、佛教大など女子駅伝に力を入れている大学が多く、実業団もワコールやダイハツ、ノーリツ、シスメックス、大塚製薬などがしのぎを削る。最近でも12年ロンドン五輪に木崎良子(ダイハツ)、16年リオデジャネイロ五輪に福士加代子(ワコール)や伊藤舞(大塚製薬)ら多くのマラソン代表を関西の実業団から輩出してきた。五輪選手にあこがれ、関西の強豪の門をたたく若手も多く、伝統が次世代に受け継がれてきた。

MGCに3人が出場するワコールは、出場選手の中で最年長の37歳の福士と最年少の22歳の一山麻緒に加え、現役女子最速の2時間21分36秒の自己記録を持つ安藤友香が今年2月にスズキ浜松ACから移籍加入した。一山は「2人の偉大な先輩がいるので、大きな目標を持って練習を積むことができる」と話す。4月のロンドン・マラソンや7月の函館マラソンのハーフの部にも一山と安藤がそろって出場し、ライバル意識を高めながらMGCを目指してきた。

男子もトヨタ自動車から最多の4人、MHPS、富士通から各3人が出場。同じユニホームで走る選手が目立つ中、関西実業団から名乗りを上げたのが上門大祐(大塚製薬)と竹ノ内佳樹(NTT西日本)の2人。ともに関西出身で学生時代は決して全国区の選手ではなかったが、実業団に入って着実に力をつけてきた。

男子は日本記録保持者の大迫傑(すぐる)をはじめ、設楽(したら)悠太、井上大仁、服部勇馬の4人が“四天王”と目されているが、ひとたび号砲が鳴れば何が起こるか分からないのがマラソン。四天王に食らいついていくことができれば、チャンスは平等にある。

今夏以降、水泳やスポーツクライミング、セーリングなどさまざまな競技で五輪代表が続々と決まっている。やはり東京に練習拠点を置く選手が多く、関西から名乗りを上げる選手はまだまだ少ないのが現状。伝統の系譜を受け継ぐマラソンはどんなドラマが繰り広げられるか。初秋の都心を駆け抜けるレースから目が離せない。

MGCでは男女それぞれ上位2人が来年の東京五輪代表に内定する。五輪の代表枠は男女とも3。最後の1人を決めるのが「MGCファイナルチャレンジ」だ。

ファイナルチャレンジの対象となるのは、19年秋から20年春にかけて実施される国内主要大会で、男子が福岡国際、東京、びわ湖毎日。女子がさいたま国際、大阪国際、名古屋ウィメンズの各3大会。この中から日本陸連の設定記録を突破した記録最上位者が3人目の代表に決まる。

設定記録は男子が2時間5分49秒、女子は2時間22分22秒。MGC出場権を争った期間内で最速だった男子の大迫傑、女子の松田瑞生の記録より1秒速いタイムが求められ、ハードルは非常に高い。ファイナルチャレンジで記録突破者が1人も出なかった場合は、MGCの3位が五輪代表切符を手にできる。