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競歩界にも“下町ロケット”!鈴木の秘密兵器“冷帽”で東京五輪も金だ/陸上

 陸上の世界選手権のメダリストによる記者会見が8日、東京都内で行われ、男子50キロ競歩で優勝し2020年東京五輪代表に決まった鈴木雄介(31)=富士通=が20キロでの五輪挑戦を見送り、50キロで出場する意向を示した。酷暑の世界陸上で鈴木を支えたのが、社員30人の「ビルマテル社」と共同開発した高通気性の帽子「Airpeak(エアピーク)」。さらに改良を重ね、五輪の金メダルにつなげる。

 揺れた胸の内は決まりつつある。ドーハ世界陸上で50キロでの東京五輪切符をつかみ、世界記録を持つ20キロでの五輪出場にも意欲を示していた鈴木が心境の変化を語った。

 「50キロで気持ちはほぼ固まっている」

 通気性に優れる帽子とともに、酷暑が見込まれる五輪も乗り切る。気温30度、湿度70%を超えた世界陸上で鈴木が被ったのが、東京・日本橋に本社を置く社員30人のビルマテル社が手がけた「エアピーク」だった。

 主に環境緑化事業を展開する同社は二層構造により通気性を保つ作業用ヘルメットを開発し、1999年に特許を取得。「エアピーク」はこの技術を基に作られた。開発に携わるのは6人。少数精鋭で技術を追求する姿は、さながら人気小説の“下町ロケット”だ。

 「エアピーク」は帽子の側頭部の隙間と、つば上部の通気口から取り込んだ空気が頭頂部の通気口へと流れる作りで、換気機能に優れる。同社などの研究によると一般的な帽子と比べて内部の温度が最大13・6度、湿度が30%も下がるという。

 開発は2012年に始まり、17年から市販。昨夏からアスリート支援を目指し、かねて愛用していた鈴木との共同開発がスタートした。二層構造で生地が多く一般的な帽子の倍近い80グラムあった重さが悩みの種だったが、超極細ポリエステルを生地に採用し約30グラムも軽量化。19年モデルの「エアピークプロ」(税込み6380円)が完成した。

 「通気性、遮光性が高く、かなり暑さをしのげる実感を得られた」と鈴木。世界陸上で着用したのは、内側に暑熱対策の氷を入れるポケットが付いた専用モデル。開発に携わる同社知財コンサルティング事業部の鳩崎正徳さん(32)は、鈴木が水をかぶってびしょぬれで歩く姿を見て、帽子を取り換える際に滑ってしまうのではと危惧したという。「つばの生地を滑らないものにするなどの改良が必要」と今後に目を向ける。

 五輪での金メダルへ。二人三脚によるこだわりのモノづくりは続く。